「バカにしないで!そんなじゃないからっ………」


ようやく振り絞って出た声はとても震えていて情けない。

負けを認めたようなものだった。


「じゃあなんでそんなに怒ってるのかしら」


「怒ってなんか………」


怒ってなんかいない。

たしかに多少の怒りもあるけど、今の気持ちに1番近い言葉は“辛い”だ。

好きな人が別の人とキスをしていた。

辛い、悲しい、苦しい。

そんな言葉のほうがずっと、ずっと、合ってる。


「生徒と教師の恋愛なんていいことないわよ」


神崎先生の言葉が耳に強く響いた。


「な、何が言いたいの…」

蒼ちゃんを好きなのがバレバレだったの?

じゃあ、自分から告白する前に蒼ちゃんにも知られちゃったの?