「まさか学校で俺が怒ったからか!?」
「………!」
待ってましたと言わんばかりに体がビクッと反応した。
「海里は昔っから俺に怒られるとどこか行くから……それか…」
「そんなこと………」
そんなことある。
わたしは昔から蒼ちゃんに怒られると、無我夢中でどこかに行ってしまう癖があった。
近所の公園や空き地。
もちろんこの海に逃げたこともよくある。
ずっと昔と変わらないのはわたしだけ。
わたしがバカだから………。
「酷いこと言ってごめん」
「え……?」
そう言ってわたしの頭を撫でた蒼ちゃんの手は、昔と変わらないくらい温かかった。
蒼……ちゃん……?
あの時の冷たい手はなんだったんだろう。
昔と変わらない、優しい蒼ちゃんのままだ。