「そ、蒼ちゃんはなんでこんなところに………?」
「海里が帰って来ないっておばさんから聞いて探しに来たんだよ。もう夜の9時だぞ」
顔を上げた蒼ちゃんは、今にもため息なんか出そうな顔をしてる。
「え!?9時ぃ!?!?」
わたしはどれだけ寝てしまっていたのだろうか…………。
鞄からスマホを取り出すと、すごい数の着信履歴がきていた。
お父さん、お母さん、お母さん、お父さん…………。
こんなに履歴がお母さんとお父さんで埋め尽くされたのはたぶん初めてだ。
うわ〜、帰ったらすっっごく怒られるだろうなぁ。
ついに限界を超えた蒼ちゃんは隣で「はぁ…」とため息を吐いていた。
「ったく、海里ってば何やってんだか」
飽きれた顔でポケットからスマホを取り出し、そのまま耳にあてる蒼ちゃん。
「もしもし蒼です」
電話?
「海里見つけました。はい、なんか寝てたみたいで」
話の内容からして多分お母さんだろう。
迷惑かけてばっかりなのに、蒼ちゃんが探しに来てくれて嬉しいと感じてしまう自分がいる。