「……り………かい……」
声が聞こえる。
聞き覚えのある、懐かしい声。
間違いない。
この声はーーーー。
「海里!」
蒼ちゃんの呼び声でハッと目を覚ました。
これも夢?なんて一瞬思ってしまったけど、蒼ちゃんの顔が近すぎる。
「うわぁっ!」と反射的に叫んでしまい体をビクつかせた。
「こんなとこで何してんだよ!具合悪いのか?なら救急車……」
こんなとこ………?
そうだ、波の音を聞いてたら眠くなって……寝ちゃったんだ。
こんなとこで寝るなんてわたしはバカか。
もう子供じゃないんだから………。
「ごめん、寝ちゃってた……」
「えへへ」と笑って誤魔化してみたが蒼ちゃんの表情は変わらない。
というか、ピタリと止まって動かない。
「寝てたって………」
一瞬止まった蒼ちゃんだったが、すぐにふらふらと動いた。
なんだか力が抜けたようで、蒼ちゃんの頭が私の肩に乗りかかっている。
こんなに近いとさすがに心臓が飛び出そうなくらいドキドキしてしまう。