鞄の中からひとつのネックレスを取り出した。

手のひらで包み込むようにぎゅっと握りしめると、蒼ちゃんの顔が浮かんでくる。


それもそうだ。

だって、蒼ちゃんから貰ったオレンジ色のシーグラスのネックレスだもの。

わたしの宝物。


オレンジ色のシーグラスはすごく珍しいみたいで、何度か探したけど今まで1度も見つけたことがない。

少し前までは戻ってきた蒼ちゃんにプレゼントしようと思って探していたけど、もうプレゼントなんて…………。


「……っ………」


なんだかまた目尻が熱い。

こんなに泣いてばかりだと、そろそろ涙が枯れてしまうんじゃないだろうか。

ちょっと落ち着こう。


近くにあった岩場に座り、波の音に耳を傾けた。

穏やかに響く波の音は聞いていてとても心が落ち着く。

何も考えずに聞いているとだんだん意識が遠くなってきた。


瞼が重い。

頭の中がふわふわする。



「蒼ちゃん…………」


零れるように流れ出た言葉の後、わたしはゆっくりと眠気に身を任せた。