「わたし、蒼ちゃんの彼女ってことでいいんだよね………?」
ヘラヘラと力のない笑顔は浮かれているのが丸わかりだ。
振られる覚悟でここに来たのに、まさか蒼ちゃんから想いを告げられるとは思ってもいなかったもの。
初恋が実ったこの春歌は奇跡に近いのかもしれない。
「海里は今日から俺の彼女」
ずっと憧れていた蒼ちゃんの恋人。
わたしの想いは蒼ちゃんに届いたんだと確信させてくれた。
「なぁ、海里」
「ん?」
「卒業おめでとう」
ふと、顔を上げると蒼ちゃんの柔らかくて甘い香りが近づいた。
深く、深く、落ちる唇が熱い。
蒼ちゃんとわたしの初めてのキス。