「でも、キスだってしてたじゃないか……!」
「あ、あれはなんていうか遥の勢いっていうか…………」
「なんだよ遥の勢いって」
「蒼ちゃんだって神崎先生とキスしたことあるでしょ?そんな感じだったんだって!」
回らない頭で言う必死の言い訳だが、蒼ちゃんはわかってくれるだろうか。
でも、嘘はひとつもない。
遥に蒼ちゃんのことを隠していたわたしだって悪いんだ。
「なんだよ……それ……」
「わっ……!」
耳元に低い音が落ちたと思えば、強くわたしを抱きしめた。
近付けばようやく気づく。
蒼ちゃんもわたしと同じくらいドキドキしてる。
混ざり合った鼓動は激しく波を打ち、うるさいくらいだ。
「俺の思い過ごしかよ……」
教師と先生という関係が終わったわたしたちは、今日からは制限されることのない恋が始まる。