「海里と芹澤が付き合ってるのは知ってるし……困らせるってわかっていたけど、どうしても伝えたくて……」



「わたしも蒼ちゃんが好きだよ……!」



「うわっ………!」


気づいたら蒼ちゃんに向かって飛びついていた。

砂浜にドスンと尻餅を付かせてしまったが、謝ってる暇なんかない。

視界が滲んで、蒼ちゃんの顔がよく見えないよ…………。



「ずっと、ずっと、蒼ちゃんが好きでした……」


届いちゃいけない言葉だった。

ずっと届かないんだと諦めていた。


たとえ幼なじみでも、教師と生徒だったわたしたちは結ばれてはいけない関係。


でも、その関係が終わった今なら大声でなんだって言えるの。


心の底から、何度だって蒼ちゃんが好きだと叫べるよ。


「え!?でも海里は芹澤と……」


こんなに混乱してる蒼ちゃんは初めて見た。

なんだか可愛くてつい笑ってしまいそうになる。


「付き合ってなんかない。わたしは昔からずっと蒼ちゃんしか見てないもん……」


涙声だし、鼻水も出そうだし、少女漫画みたいなロマンチックさはないけど、そんなの気にならない。

蒼ちゃんにわたしの気持ちが全部伝わればなんだっていいんだ。