「人なんて年月過ぎれば変わる。アホなところが変わらないお前がおかしいだけだ」
ダルそうに語る蒼ちゃんを見ていたら、体がガタガタと震えてきた。
こんな怖い蒼ちゃんなんて知らないよ…………。
人ってこんなに簡単に変わってしまうものなの?
まるで顔だけ一緒の別人だ。
大好きだった蒼ちゃんの笑顔の面影は全く見つからない。
優しいぬくもりを感じたあの頃の手のひらだって…………。
「つーか、いつまで掴んでんだよ…………!」
どこにもない。
力強く振り払われた手はとても冷たくて痛いだけ。
もう、嫌だ。
こんなところに居たくない。
「蒼ちゃんのバカ!!!!!!」
それだけ吐き捨てるように言うと、勢いよく蒼ちゃんの部屋を飛び出した。
わたしかずっと待ち続けていた蒼ちゃんはもうどこにもいないんだ。
もう、会えないんだ。
すぐ隣にあるはずの自分の家が今だけはとても遠く感じる。
蒼ちゃん。
蒼ちゃん……………。
会いたいよ。
早く会いに来てよ。
もう一生会えるはずもない“あの頃”の蒼ちゃんを思い出したら静かに涙は零れた。
蒼ちゃんの大バカヤロー…………。