「もう海里を妹だなんて思えない」


ザワザワと急に強い潮風がわたしの髪をふわりと揺らし始める。

わたし、期待してもいい?


蒼ちゃんが言おうとしている言葉を想像してもいいかな。


うつむいていた顔を上げると、心ごと射抜かれてしまいそうなほど真剣な蒼ちゃんと瞳とぴったり重なった。

今度は絶対逸らせない。

ドクンと高鳴る胸の音が、わたしにもしかしたらの未来をチラつかせてくる。


ねぇ、蒼ちゃん……わたし………


「俺は、海里のことが好きだ」


泣いてもいいのかな。


ずっと聞きたくて、ずっと言いたかった「好き」の言葉。


まさかそれが蒼ちゃんの口から聞けるなんて思ってもいなかった。