「来てくれてありがとう」
「う、うん……」
優しい蒼ちゃんの笑顔だ。
いつもと変わらない蒼ちゃんの笑顔に何度ドキドキしたことだろう。
会話が続かないわたしたちの間には波の音だけが響いている。
ザーッと流れる波の音は聞いていてとても心地が良い。
緊張が抜けないわたしの神経にスーッと入り込んで、少しずつ落ち着きを取り戻せてきた。
2人の間にあるこの微妙な距離感がなんだかとても変に感じる。
こうして向き合ってみると、やっぱり昔のようにはいかない。
あの頃みたいに、ただ純粋に、蒼ちゃんを見ることができないんだ。