「ふふっ、海里ちゃんのこと待ってたのよ〜」
「え、わたしを?」
待ってたって……?
ニコニコと眩しいくらいの笑顔を見せる蒼ちゃんのお母さん。
なんだろう。
「これ、蒼から海里ちゃん渡してほしいって」
渡されたのは一通の小さな手紙。
蒼ちゃんから手紙なんて初めて貰った………。
ゆっくりと手を伸ばして手紙を受け取ると、なんだかドキドキした。
なんか……これって…ラブレターを貰ったみたいな感じがする。
「卒業おめでとう。」
「あっ、ありがとうございます!」
「じゃあ、わたしはこれで」
最後までニコニコと笑顔が消えなかった蒼ちゃんのお母さんは、この手紙の内容を知っているのだろうか。
ガチャリと扉が閉まった後も、手に残った手紙をじっと見つめた。
手紙を渡すってことは蒼ちゃん今家に居ないんだよね?
用事があるって家に帰ったはずなのにどうしてだろう。