「ね、ねぇ……遥?」


蒼ちゃんと別れてからだいぶ歩いたけど、遥は止まろうとしない。


ずっと体も近いし、息苦しいというか暑苦しいというか………。

歩くスピードが速すぎてすれ違う女子たちも遥になかなか気づかないみたい。


みんな大好き芹澤くんがこんな平凡な女子とくっついて歩いてたら、悲鳴の1つや2つ聞こえてもおかしくないのに……。


周りからどんどん人数も減っていく。

西校舎と北校舎を繋ぐ渡り廊下。

北校舎には出店がないため、こっちに来ると人も全然居ないや。


せっかくの文化祭なのになんで店がないこっちの校舎に来るの?


名前を呼びかけても遥は黙ったまま。


何考えてるんだかわからない。

こんなに密着してるとさすがにドキドキしてきた……。


わたしが好きなのは蒼ちゃんだけのはずなのに、遥にドキドキするなんてこれって二股疑惑?


こんなに体を抱き寄せられてドキドキするなって方がおかしーーーー。


って、あれ?


わたし今、抱き寄せられてる!?!?


事の重大さにようやく気付いてしまった。