ごめん遥。

他の人からシーグラスを貰うことなんてできないよ。


シーグラスはわたしと蒼ちゃんを繋ぐ大切なものだから。

わがままだけど、2人だけのものにしたいの。



「はぁ…………」


走る速度を徐々に抑えていくと、ちょっと冷静になってきた。


なんでわたし、わざわざ飛び出してきちゃったんだろ……。


理由も言わずに叫んで走って……遥の優しさを無駄にして。

本当、ただの自己中なバカ女だ。


来た道を戻ろうと振り返ったら、突然キーンと耳に女の子たちの声が響いた。


「きゃぁああ!桐生先生!?」

「桐生先生が私たちのクラスに来てくれるなんて!!!」

「こっち来て座ってください〜!」


桐生先生?

歩き出そうとしたわたしの足がピタリと止まる。


「いや、ちょっと覗きに来ただけで………」


間違いなく蒼ちゃんの声だ。