「あっ……」
食べ物のことしか頭になかったわたしの脳内に、急にある文字が飛び込んできた。
「手芸部……」
すぐ目の前にある手芸部の店だ。
たしか手作りアクセサリーを販売するって誰かが言ってた気がする。
うーん、気になるけど遥はこういうの興味なさそうだし言いにくいなぁ。
「せせせ芹澤くん!よかったらアクセサリー見て行きませんか!」
そんなことを考えているうちに、手芸部に所属する女子生徒がすかさず遥に声を掛けた。
「あー……」
ちょっと面倒くさそうに目を泳がせている遥。
まぁ、お決まりの「後で行くよ」ってセリフで終わりだろう。
「そーだなっ、見てくか」
そう、そして作り笑顔で手を振っ…………。
「え!?」
今までと対応が違う。
突然どうしちゃったの!?
「きゃああ!ありがとうございます!どうぞこちらです」
「え?芹澤くん!?」
女の子にグイグイ引っ張られるがまま、教室内へと連れ込まれる遥。
その後をひっそりとついて行くわたし。
誰もわたしに見向きもしない…………。
なんだか少し虚しくなった。