「芹澤くーん!クレープ食べませんかー!!」


「お化け屋敷やってますよ!芹澤くん!!」

「きゃぁああ!芹澤くんの学ラン!!」


遥と文化祭を回り始めて数分。

改めて遥の人気はすごいんだなぁと実感した。


買ったばかりのたこ焼きを口に頬張りながら、隣に居る遥をチラリと見ると、


「……ったく毎回話しかけてくんなっつーの、ゆっくり文化祭も楽しめねーのかよ」


女の子たちの歓声に苛立ちを感じてきたらしく、ブツブツと文句を言い続けている。

歩いているだけで声を掛けられまくり、その度に笑顔で対応する遥はさすがだ。

逆に声を掛けられない時間の方が計算したら短いのではないかと思ってしまうくらい。


大変そう………。


遥はわたし以外の女の子とあまり交友関係を持っていないらしい。

男子とは当然仲よさげに話すけど、女の子と一緒に居るところは囲まれているとき以外見たことがなかった。

たぶん女子はうるさいから自分から近寄りたくないんだと思うけど。

わたしだって一応女なんだけどなぁ……。


「おー、後で行くよー」


遥を引きとめようと精一杯アピールする女の子たちに、いつもの作り笑顔で手を振っている。

無理をしているのが伝わってきてしまうから、見ているだけでこっちが疲れてきたよ。