「痛ってぇ〜………」
バッと弾かれたように振り向くと、そこに居たのはーーー。
「はっ、遥!?」
げっそりとした青白い顔で今にも倒れそうな遥だった。
「せせせせせ芹澤くん!」
結衣も相当びっくりしたみたいでポカーンと口を開けたまま固まっている。
なんで遥がこんなところに……?
そう疑問に思っていたら、廊下の方からやけに高い声が聞こえてきた。
「芹澤くーん、どこ行ったのー?」
「今度は執事でお願いしたいのに〜」
「芹澤くん〜!!」
女子数名の「芹澤くん」コールが廊下に響き渡っている。
なるほど……そういうことか。
一瞬してこの状況が理解できた。