「こんなの着ていったい誰が喜ぶのかねぇ」
「えー?少なくともクラスの男子達は海里のセーラー服姿見て萌えてたよ?」
「もっ、萌えるって……」
ニタニタと大袈裟に笑う結衣はなんだか不気味だ。
しかも今度は「女の私までムラッときちゃうかも」なんて変なことまで言い出すし、意味がわからない。
呆れてこれ以上何も言いたくなくなってきた。
「まぁ、海里は可愛いの自覚ないもんね」
「そんな褒めたって何も買ってあげないんだから」
もしもわたしが本当に可愛かったのなら、蒼ちゃんにも女の子として好かれていたのかな。
誰もが振り向いてしまうような魅力があったのなら、蒼ちゃんの方から近づいてくれていたのだろうか。
なんて、今日も相変わらずわたしの脳内は蒼ちゃんしかいないみたい。
たとえ好かれたとしても教師と生徒の関係のままじゃ意味無いのに。
せっかくの文化祭なのにまた切ない気持ちでいっぱになるよ……。
「ほら、海里はどっか店でも行って来なよ!せっかくの休憩時間なんだからさ」
気分を切り替えなくてはと笑顔で答えようとしたが、
「うん、そうす…………」
最後まで言い終わる前に、突然後ろからガタンッと大きな物音が聞こえた。