あやめside



「萩原さん?」


新学期早々、春の心地よさにウトウトしていたら、後ろの席の男の子に声を掛けられた。



「…なんですか?」



男の子…苦手なんだよね…



「あの…俺、柳って言います。
あの…よかったらメアド…」



柳くん…ていうのか。



「えと…よろしくです。でも、メアドはちょっと…」



「で、ですよね!出会ったばっかの男に連絡先なんて渡しませんよね!」



ダダダダダっ



そう言い捨てて、柳くんは教室から走って出て行った。



「な、なんだったのよ…」