「やけど、会わなくていいなんて思ってへんで。」

「ふうーん。」

「なんなん、その“ふうーん”て。」


理紗の素っ気無い態度に、ナオはムスッと唇を尖らせて言った。

明らかに興味のなさそうな反応に、少しだけ不満足な部分が浮かぶ。

理紗は悪気のなさそうな涼しい顔をしてまた、手に持っていた紙パックのジュースを飲み始めた。


「もー。」

ええわ、と半ば半ギレでナオもぷいっと横を向く。

男子達がまた、ナオと理紗の前を走って通っていった。

フワリと風が舞い、二人の髪の毛を靡かせていく。


「あっ!」


すると、突然理紗が何か閃いたような顔をしてナオのほうを向いた。

そして拗ねているナオの肩をがっちりと摑んで揺らす。


「なんなん・・・。」

「そんな拗ねんなや、あほくさいなあ。」

「あほくさいてどういうこと!?うちにとっちゃ大事件やで?!」

「どういうこと・・・。」

顔を真っ赤にして怒るナオに、理紗は呆れたようにため息混じりで言った。