*** 「ねえ、ひなはそれでいいの?」 奈美の瞳が私を捉える。 夕暮れ前の帰り道。 髪をなびかせる風が気持ちいい。 「えっ何が??」 「先輩のことに決まってんでしょ!ほんとに諦めるの?」 「…うん。諦めるよ、わたし何回も言ったじゃん!奈美何回聞くの〜 あははっ」 「ほんとに?諦められるの?わたしには無理してるようにしか見えないんだけど」 "諦められるの?" 奈美のその一言が頭に響いて、わたしはなぜか泣いていた。