彼は中学三年の春、新学期といっても代わり映えのしない顔触れの中、受験に向けてどこか憂鬱な季節に突然現れた。

他人を寄せ付けない空気を纏って。

憎たらしいくらいあたしなんか眼中にないって顔をして。

けど、あたしは初めて会ったその日からあんたのことがやけに気になってしょうがなかった。


芹沢一。


傷つけたくなる程真っすぐなその視線の先には、
一体誰がいるの?