周りの突き刺さるような視線をものともせず、完璧にスルーする。
まるで存在そのものを否定するかのように。
彼女の透き通った綺麗な瞳には初めから周りなんて見えてないかのように。
周りの静寂も臆することなく、あろうことか彼女は………、規則正しい寝息をたてながら、寝始めた。
物凄く神経が図太い奴だ。
こんな固まった空気の中、その空気を作った当の本人は平然と寝ていられるのだから。
そんな姿も恐ろしいほど綺麗で。
まるで人形のような、悪くいえば死人のような。
このまま彼女は永眠してしまうんじゃないか。
俺はふとそんな馬鹿げたことを思って戦慄を覚えた。
美しい彼女に暫く見とれていると、タイミングを測ったかのように、
ひらひらと。
神秘の魅力に包まれた揚羽蝶が彼女の髪に止まった。
俺は何故だか、不思議な気分になり…、
手を伸ばした。
その手が彼女の髪に触れる寸前、
パチリ
彼女が目を覚ました。