「自己紹介が遅れたね。

一応現在このお店を任されてる
結城宗次郎です。
店長とか呼んでください。

生菓子が主な担当ですが、
全ての商品をチェックします。
経営やシフトも代理として管理してますので、
何か不都合があれば、
気楽に申し出てください。

えっ。歳皆言ってるの?
48歳のおじさんですよ。
独身生活を謳歌しています。」

か、かっこいい。
映画に出てくる俳優さんみたい。

もうパティシエ服は脱いでいて、
黒いジャケットを羽織ってる。

白髪もシワもあるのに、
色っぽいというか味があるというか。
またあの眼鏡がいいんだよね。
老眼鏡かな。

私は思わず店長に見惚れた。


「チカちゃんのことは、オーナーに話してあります。

お母さまの了承も取れたそうですし、
自分の家だと思って自由に過ごしてくたさい。

とはいえ、夜は新と二人きりは危険です。
必ず部屋の鍵はかけなさい。
それと何かあったら
私に連絡しなさい。」


そう言って店長は、
私に携帯番号を書いたメモを渡した。


「あ…ありがとうございます。

よろしくお願いします!」

わぁ!嬉しい!
私は握りしめて頭を下げた。

佐々 新が不機嫌になってることにも
気づかず。