「ショコラティエの水瀬良さん。
今朝も会ったけど改めて紹介します。

うちでは6年目の29歳。
ショコラや飴、焼き菓子を担当しています。


つぐみさんの旦那さまです。」


へー同じパティシエでも
担当があるんだ…。



へ?



「つ…つぐみさん、
結婚してるんですか?」


私は驚いて、
つぐみさんを見た。


「そうなのー。
こう見えて人妻ちゃんなのっ!」

つぐみさんは良さんに抱きついて
舌をペロッと出した。


「こ…こんなかわいい人妻が
この世にいるとはっ!!」

「きゃーん!チカちゃんのがかわいいよおお!」
「わっ!!」

つぐみさんがまた私に抱きつこうとした。


がん!

ひょいっ!

その時、
良さんはつぐみさんにげんこつを食らわし、
佐々 新は、
私の肩を持って、
つぐみさんの抱擁をかわさせた。


「つぐみ、チカちゃんに抱きつくの禁止!」

良さんは、つぐみさんに指を指した。

「えー!!つぐみ可愛いもの集めるのが大好きなの知ってんじゃん!!
やだやだー!!」
つぐみさんは良さんに泣きついた。

「あ、あの、

私いやじゃないですっ。
その嬉しいですっ。」

ニコッと笑ったつもりだが
みんな固まってしまった。

お母さん、私、
やっぱり笑顔って苦手です。