「んじゃ行くか」
自分の姿を鏡で見るそいつに声をかけて手を取る。
驚いているそいつ_忍に、あえて行き先を黙っておく。自分の身の防衛のために。
言ったら確実に逃げるし。
「雪火?」
何かに勘づいたのか、静かに俺の名前を呼んだ。不安そうな、だが、どこか凛とした声で。
自分の心の揺れを悟られないように、顔は見ない。
「俺が守るよ、絶対な」
聞こえないだろうと思って、言った瞬間恥ずかしくなる言葉を口にする。
そしてバレないように口角を上げる。
今は少し手放してしまうけど---
いつでもお前を守ってやるよ。
だからごめんな、今だけは。