「気の所為じゃないのはわかってる。丁度見えたのよ。あそこだと」
溜め息をつきながら、関わりたくないわ、と零した。
弱音か?と聞けば、どうとでも思えばいい、とよくわからない言葉を返された。
意味を聞こうとして振り向けば、丁度着替えているところだった。
「わり」
罪悪感からそう言えば、笑い声が聞こえた。
「慣れてるかと思ってた」
_それはどういう意味として受け取ればいいんだ?
何人もの女と遊んでいるだろうと言いたいのか、
自分の着替えに慣れているだろうと言いたいのか…
どっちにせよ色々と失礼極まりない発言であることに変わりはない。
「もういいか?」
「ええ」
返事を聞いて振り向けば、今度は本当に着替え終わっていた。-制服に。
家まで渡しに行くのが面倒だったから、ここに制服を置いておいた。
だから私服だったこいつを何らかの形であいつらが勘違いしていても不思議じゃない。
-その勘違いとやらが俺に都合のいいものであることを願うばかりだ。