「…理事長に愛人。ま、材料程度にはなるかな」
庵くんは黒いオーラを撒き散らしてなんだか怖いことを考えていた。
っていうか材料ってなんの…?
前々から思ってたんだけど、庵くんって理事長に怨みでもあるのかな。
接し方が雑なんだよね、なんとなく。
昨日笑顔で理事長と話してた庵くんは幻だったのかな…
「ん…どうした?」
「なんでも、ないよ~」
なんとか誤魔化せた、っぽい?
そっか、と庵くんは僕に向けていた視線をパソコンに戻した。
似合ってるんだよね、庵くんとパソコンって。
ホッと安心していた僕は…僕たちは、ボスがずっと外に視線をやっていたことに、気付かなかった。