感情を出しすぎると善くんに馬鹿にされるから、なるべく大人っぽく対応する。
それでも、善くんには拗ねてるように見えてしまったらしく、ニヤニヤしながら携帯を弄っていた。
「で?気になるの、瞳は」
穏やかな口調で僕たちを宥めるように言う庵くんは、まるでお母さんだった。
面倒見がいいからね、庵くんは。
僕たちは所詮まだまだ子供ですね…
一旦落ち着いて、庵くんなら知ってそうなことを聞いてみる。
「…何年生かな」
「二年だよ」
即答したってことは、僕が聞きそうなことは想定済みってことか。
苦笑してる善くんは、このことは庵くんに聞いてなかったんだろうな。
ちょっとだけ優越感。
「あれ…」
優越感に浸りながら外を見ていれば、理事長らしき男の人が入ってくるのが見えた。
だとしたら隣にいる女の人は…やっぱり彼女?
制服来てるわじゃないし、きっとそうだと思うんだけど…