確かに…
「あ、庵(いおり)くん!みんなが驚きそうな情報を手に入れてきたんだよー!」
興奮気味にそう言えば。
「転校生のこと?」
おーちゃんが食器を洗う音以外、何も聞こえなくなった瞬間だった。
「なんだー…知ってたんだね」
急に恥ずかしくなった。
ここに来るまでの僕の華麗なスキップはどうしてくれよう…
まぁ転校生のことを聴いたときから、庵くん知ってそうだなー、とは思ってたけどね。
何よりショックだったのは、それを庵くんじゃなく、善(ぜん)くんの口から聞かされたことだよね。
善くんは空気が読めない、所謂KYって呼ばれる人たちとはどこか違ってて…
きっと僕の悔しがる顔が見たいだけのSなんだと思う。
なんかムカつく。
「女の子らしーし、俺が知ってない方が意外だろ?」
「自分で言わないでよ…。そんな決まりないし、善くんが知らないっていうのも平和でいいんじゃないかな」