̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ではでは、僕から」
おっほん、とわざとらしく席をした瞳。
「そーゆうのいいから、さっさと進めて。
今にも逃げ出しそうなんだから」
「うー」
庵が言っているのは、多分王祇―瞳曰くおーちゃん―のこと。
基本的に王祇は寝ていることが多い。
雑用をしてることも多々だが。
「奥田瞳…呼び方はお好きなようにどうぞーだよぉ」
「おいおい…」
庵の言葉が相当深く刺さったのか、テンションが異様に低い。
これでよく派手な喧嘩が起きないよな。
…しっかりとした格差がこの場に成立しているから、だとでも思っておこう。
「オレ、吉乃善な。テキトーによろしくしてよ、姫さん」
よろしく、とは口先だけで、顔は合わせようとしないし、笑顔もない。
あまり騒いでいないだけで、実は1番“姫”の存在を否定してるんじゃないか?