苛々している忍の目には明らかな殺意がこもっていた。
見つめるのを躊躇って視線を逸らすと、“資料室”と書かれたプレートが視界に入った。
…そういえば此処だったか。
使ってないし、誰かしらのサボり場にはなるんだろうと思ってた。
「俺、行く必要なくねぇ?」
未だに抵抗する雪火。
さっき諦めたと思ってた…大人しくここまで付いてきたくせに。
忍は聞く耳をもたない。
「文句なんてないでしょう?さっき人にしたことを貴方がされてるだけなんだから」
「確かに」
「黙ってろクソ朔」
忍に言い返しできない分、俺へのあたりが明らかにキツい。
八つ当たりならそこらを歩いてる生徒にしてほしい。
めんどくせー男だなぁ。
俺も人のこと言えねーんだけど。
__ガチャ
「…あ、姫さんのお帰……」
ドアを開けたのは俺で、目の前には勢いよく振り返った善。
しかも笑顔。
怖いくらいに笑顔。
で、その顔のまま一時停止する善。
善だけじゃなく、全員が固まって、思考停止させていた。