「こんなことなら、さっき大人しく戻っておけばよかった…」
「なんか言ったかー。ほれ、行くぞ」
私が大人しくついていくことが前提で、前を歩いていく。
今なら逃げでもバレないんじゃないか、とも思ったけど「遅いぞ」と言った朔に諦めをおぼえた。
後ろを見ないで言っているんだから、尚たちが悪い。
逃げ出せそうにはなくて。
説得してもどうせ聞いてもらえない。
──朔は私の命令は聞かないから。
強制的にあの場所に連れて行かれて、強制的に仲間にさせられて、逃げれば連れ戻される。
きっと、
ここに私の自由はない。
そんなことくらい承知してたはずだけど、そう素直には受け入れられないらしい。
自由がない場所。
こんなところでどうやって幸せを掴めばいいんだろう。