前に話していた雪火から見た弟像は、こんなに甘いショタ系ではなかったはず。少なくともこんなに声は高くない。

-逆にそうだとしたら笑えてしまう。



「あ、りじちょーの愛人さんもいる!」

「愛人じゃなくて彼女な」


「リアリティをつけるのやめてもらえないかしら」


咄嗟にツッコミをかましてしまった。


一応名前だけ言って、長々と話し始めそうな雪火を引っ張って、それだけでこの部屋を出る計画でいたのに。


全ては勝手すぎる雪火のせいよ。ここに連れてきたり変なこと言ったり…



「え!彼女じゃないのー!?」


雪火が占めた、とでも言うようにニヤニヤと笑っていた。

-あぁ、そういうことか。

学校で制服を渡した理由にはこれも含まれていたってことか。

悪趣味にも程がある…



「で、理事長。俺らに見せてどうしたかったんですか」


ふと投げかけられた質問。

頭に浮かんで何も考えずに言葉にしたような、そんな印象を受けた。



「あぁ」雪火は少し言葉を濁した。