体育館では、ほとんど試合が終わっていた。

「あれ、那智じゃね!?」

いち早く、連夜先輩が皆川先輩を発見した。

今やっているのは、決勝戦らしく、皆川先輩のクラス、3年B組と3年A組の試合だった。

バレーは、5点を取ったほうが勝ち。

「那智、余裕じゃん」

確かに、4−1とかなり、皆川先輩のクラスは優勢だった。

試合を見ていると、

「魅ぃー夜ぁー!!」

と大声で名前を呼ばれた。

誰だよ……。そう思って振り向くと流がいた。

「どうしたの?」

私がそう聞くと、

「どうしたの、じゃねえよ。バレー終わったらバスケだろ? 準備しに行くぞ!」
流はそう言って、私の手を握った。

その瞬間、会長と連夜先輩の顔が歪んだことを私は知らない。

「じゃあ、行ってきます」

先輩たちにそう言って、私はその場を後にした。