「迷惑をかけました」

暫くして、父さんが迎えに来た。

那智の家からの帰り道。俺と父さんは一言もしゃべらなかった。




家に着いて、リビングに行くと、男はいなくなっていて、母がソファーに座っていた。

「零。俺たち、離婚することにしたから。お前は、どっちについて行きたい?」

突然、そんな話しを切り出した父さん。
でも、俺は納得出来なくて…。

「離婚って、待ってくれよ…。なんで、俺に何にも言わないで、決めちゃうんだよ!」

必死だった。確かに、母は浮気をした。
だけど、別れて欲しくなんてなかった。