「ただいまー!」

「おかえり。楽しかった、零?」

「うん!!」

家に帰ると母さんはいたし、やはりさっきのは母さんじゃなかったんだ。と思った。






それから、数年たち、俺は中学生になった。

「じゃあな、那智!」

「さようなら、零」

幼なじみの那智と一緒に父さんが理事長を勤める、朝霧学園に入学した。

その日は入学式だといいこともあり、昼前に家に帰った。


「ただいま」

家に入ると見馴れない靴があった。

明らかに男物だが、父さんの物ではない。


それが何を意味するか、成長した俺には、わかってしまう。