「真琴。」


京雅が書斎から出てくる。


「京雅!」


「少し散歩しよう。」


京雅はそういい、カーディガンを私の肩にかけた。


「ありがとう。」


季節は春。去年の春私は柊那さんと「来年も桜を見ようね。」と約束をしていた。


しかし、今隣にいない。


だけど…


(空から見えますか…?このきれいな桜を…)


私は両手いっぱいを大空に広げ、柊那さんに向けていった。