あたしはクラス表を持ち、一年C組のクラス前に佇む。




今日から一年、このクラスで過ごすのか‥。
どいつもこいつも賑やかだな。ドア越しでも声が聞こえる。
あたしとは正反対だな。

「さて、入るとするか」


手に力を入れず、無気力な音を出して開かれるドア。
半数の人があたしに視線が注がれるのを感じる。
こういうの苦手だ。


「あたしの席は‥っと」
目の前の黒板に白い文字で書き込まれている席順を見つめ、あたしは最後尾の左端の席に座った。てか通路側かよ‥。


大してすることもなくて暫く携帯をいじっていると、空いていた隣の席に何かが置かれたのが音で解った。
こっち側へ視線を感じるのは気のせいで良いのだろうか‥。


横目で様子を窺うと、置かれたのは鞄だ。
隣に置いたって事は、誰かが座るのか。

「よろしくね」
あたしに向けて微笑むこの男。
隣に顔を向けるよりも先に声を掛けられ、不覚にも吃驚してしまう。

「‥‥ああ」
何て返せばいいのか分からず、適当に返し改めて顔を見ると‥



中々の甘いマスクの持ち主だ。
あたしは興味無いけど。

だから女達がこっちを頻繁にチラチラ見てくるんだな。
納得。