翌日、教室に着くと、いつもならとっくに着いているはずの猛がいなかった。


倉田が今日も俺の席に座ってノートに何かを書き込んでいた。


「倉田、猛は?」

「猛?知らない。あんなやつ。」

「…もしかして、何かあった?」

「知らないっつーの!
『明日も早く来てさっさと計画立てちまおうぜ!』とか言ってたくせに、言い出した本人は来てないし!
ほんと自己中なんだから!」

「確かに来ないわけないよな。倉田と二人で作業できるんだから…」

「何か言った?」


倉田の睨みつけるような視線が痛い。


「いや、何も。」


俺はそれ以上触れないことにした。

これ以上関わったら、俺にとばっちりがくる…


「あれ?猛は?」


相園が登校してきた。


「来てないんだ。休みかも。」

「え!?昨日あんなに絶好…」

「席つけーー!!チャイム鳴ってるぞ!」


大塚が教室に入ってきた。

いつも教室に入ってくるタイミング悪いんだよな、この先生。


「先生、猛は今日は…?」

「『心が痛いから休む』とかいう電話がかかってきた。まったく…」


大塚も機嫌が悪い。これ以上関わらないほうがよさげ。



それにしても…『心が痛いから休む』って何なんだろう…?