猛には、俺みたいに後悔してほしくない。

やる前から諦めてほしくない。

可能性のことは考えないで、ぶち当たってほしい。

とにかく、後悔してほしくない。


「…がんばれ、猛。」


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つぎの日、朝学校へ行くと俺の席に女子生徒が座っていた。ポニーテールからして、倉田だろう。

一瞬、声をかけていいのか分からなかったが、猛が「おっす悠斗!」と声をかけてきたので「おはよう」と返した。


「本城、おはよ!
あ、ここあんたの席だったっけ。ごめんね、どくから。」

「あ、いいよ。座ってて。」

「悠斗、俺ら合宿の実行係になっちゃってさー、大変そうなんだよ。」

「おっはよー!」


相園が入ってきた。


「できることがあったら、私も手伝うから、なんでも言ってね!」

「なつめは、本城と買い出しに行ってくれるらしいから、ウチらは実行係、頑張ろうね!」

「おーう!」

「は?」


買い出しなんて、聞いてないんですけど。