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…やっと話が終わった。


廊下に出席番号順に並び、これから体育館へ入場する。


…しかし、『彼女』がいない。


さっきまでいたのに…

そう思っていると、列が進み始めた。


「先生。俺の後ろの女子がいません!」

「あぁ、彼女ならいい。入場しろ。」

「はぁ…」


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式は淡々と進んでいく。

彼女が現れる気配は一向にない。


「新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。期待と不安を抱えて―――」


上級生は、文章を作るのがやっぱりうまい。


次は新入生が在校生に向けてのメッセージ。


「新入生代表!」

「はい!」


新入生の代表が舞台袖から出てきた。