「櫻ちゃんっ」

櫻の背後からやって来て、肩を叩いてきたのは健一。

「こんな所でどうしたの?」

「あっ…………健一先輩…………ちょっと寝れなくて…………」

「隣いい?」

「はい…………どうぞ…………」

健一が隣に座ると、ドキッとした櫻は、何か優しい言葉を期待していた。

「今日もだけど、最近寂しい顔をするよね?失恋の事をまだ忘れてないのかな?」

優しい言葉じゃなく、健一に今考えている事を言い当てられると、櫻はすぐに俯いて小さく頷いた。

「そっか…………サッカー部の1年のスターの子だよね?櫻ちゃんの幼馴染みって…………」

「えっ…………なんで…………知ってるんですか?」

柚乃にしか和樹を好きだと言っていない為、驚いた表情で櫻が呟くと、健一がクスクスと笑った。