「あーあ彼女ちゃーん。気づいちゃダメでしょ~」


ドアの隙間から覗いていたひとりが、やれやれという風に言った。いやいや!


「な、な、何してるんですか!」

「何って、覗き見ぃ~。汐見と噂の彼女が、二人っきりで飯食ってるっつーからぁ」


窓の隙間から覗いていたひとが、あっけらかんと答えた。


じゃあこのひとたち二年生か!

先輩の同じクラスとか....?


うええ、なんにしても恥ずかしい!


あっぶな!キスするとこだったわ!人前で!!


わなわなと震える私に反して、汐見先輩はあんまり動じてなかった。ただ顔がすげー怖い。


「....お前らにこのこと教えたの、諒だろ」


声が低い!

いやでも私も怒りたい!


汐見先輩の言葉に、二年生の男子の皆さんが目をそらす。まじかよ松原先輩なにしてくれてんの!?


「....諒。いるんだろ、出てこいよ」


先輩怖い。

松原先輩はなんだかんだ汐見先輩に逆らえないのか、素直にドアの隙間から顔を出した。おんのかーい。