「.....こっち来て」



静かな声が、ふたりきりの教室に響く。


私はちらりと、教室の時計を見る。

昼休みが終わるまで、あと五分。


それでも彼の声に従って、私は席を立った。



「....なんですか」



座っている先輩の横に立って、小さく笑っている綺麗な顔を見下ろす。

私の彼氏、なんかちょっと怖いモード入った。


「...別に?」


なんだそれ。

なんでそんなに楽しそうなんだ。


「....なに笑ってるんですか」

「百合が可愛いから」

「先輩だけですよ、そんなこと思うの」

「それでいいじゃん」


そうか。そうだな。

それにしても、この格好いいひとマジで私の彼氏なのかな。やっぱ不思議。