今日は、色々な事があった。

嵐と再会して、喋って・・・そしたらなぜか心友の菜々が嵐を好きになって

『彼女になる!森山の!』

って言い出して、家が隣・・・いや部屋が隣の私はたとえ応援していなくても一番邪魔な存在と言うことは自分で自覚できるが・・・これは直すことは不可能。
・・・となると、私と菜々の関係が崩れるのも時間の問題であり、菜々と嵐との距離の問題にもなってくる。近ければ近いほど私に色々なコトを聞いてくると思うし遠ければ『アンタはいいね』といいかねない。
こういうふうに考えるとどっちに天秤がかたむいても仕方がないのかな。

そして、ぶつかっただけでもらった綺麗なパステルカラーのハートのキンホルダーは今は携帯につけている。すごくキラキラしていて可愛い。
山本・・・春輝くん、少し不思議な男の子。

「あぁ~・・・、こういうこと誰か話せる相手がほしいんだけど・・・今は1人だし?お父さんもお母さんもいないから・・・」

いつのまにかもらす愚痴。

「茜」

突如、壁から聞こえた低い声。
嵐だ。

「ん?」
「1人なんだろ?そっちいこっか?」
「え?本当?やっ・・・」

いや、ちょっと待て。
菜々の好きな人と今いていいの?
しかも2人だけ・・・あきらかにダメでしょ。

「い、いや。いい・・・」

そう言ったのは少し遅かったようだ。

ピンポーン♪

インターホンの音が家に鳴り響く。
扉をあけるとやっぱり嵐がいた。

「・・・何、怖い顔して」
「・・・べっつに!嵐が私の答えも聞かずに来たからでしょ」
「え?お前が喋る相手がほしいって言ったから」
「聞こえてたって・・・いいたいの!?」
「うん」

聞こえるでしょうね。
壁薄いし。

「もぅうううう」
「まぁ、来ちゃったしいれてくれよ!」

家、隣でしょ!と言いたかったけどでも今はなんとなく1人は嫌だと感じた。
怖いとかそういうのじゃなくて、なんか・・・。

今の嵐を知るには絶好の機会だと思ったから。

「どこの部屋好きだっけ。嵐」
「ん?変わってないなら・・・茜の部屋でいーや」
「いーやって何様」

ニコニコと笑う嵐は久しぶりかもしれない。

「何も出してくれないの?」
「うん。すぐ帰るでしょ」
「わかんないよーー!」

なぜかノリノリな嵐。
学校では喋る前に少し沈黙があったけど今は全くそれを感じない。
しかも、即答だ。

「嵐・・・なんでそんな髪型とか変えたの?」
「お、茜まで聞いちゃう?」
「うん・・・いや、言いたくないならいいんだ。勝手に私が興味もってるだけ
 だし。」

そう言った直後、少し沈黙が訪れた。

「・・・茜は信用してる。」
「へ?」

思いもよらない答えにすこしビックリしたのは確か。

「好きな子ができた。いや、ずっと前からいたんだ」

菜々の予想は当たっていた。
でも、ここで気になるのはその相手ではない。

「ずっと前から?」
「・・・うん。」
「でも、今変わったんだよね」
「ずっと前から好きだった・・・と思う。でも、気づいたのはここ最近。」

・・・気づかない恋か。
本当にあるんだ。

「秘密だからね・・・」

少し、私を睨んで言う嵐。

「分かってるよー」

でも、少し相手が気になるけど多分、今聞いたら菜々と同じレベル。
決して、菜々と同じレベルが嫌なんじゃない・・・ただ、
幼馴染として、嵐の気持ちを考えた。
たった、それだけなんだよ。

「しっかし、今日の山本はどしたんだろうね。」
「山本春輝くん?」

沈黙が再び訪れる。
あきらかに、嵐は口を開く気配がない。

「・・・どんな子?」

決して興味はないわけではないがあるわけでもない。

「んっと・・・3人いるだろ?山本も含めて。」
「あぁ、うん」

少し、なれなれしい子と山本くんともう一人。

「山本は、いじられキャラだな。Mっていうの?ソレだと思う。けど、最近
 アイツらの中で恋バナをしていたんだよねー。俺は、グループ違うし?
 ってか勉強してたから。」
「いじられキャラとイジメは違うの?」

例えば、暴力がふられているとしたらいじられているという言い方で裏ではイジメということもある。男子と女子のイジメは基本違うから、解らないけど。

「違うよ。山本はいじられキャラってだけだよ。いじられキャラってさ優しい
 んだよね。だから許してしまう。んで、人の信用も堅いから何かと相談相手
 とかになってると僕・・・俺は思う。」

僕 って言った。
やっぱ、抜けてないんだなぁ。
それくらい恋の相手を落としたいってコト。

「山本は、クラスでも人気で夏休み前もチョコもらってたしラインの交換して
 たような記憶が・・・ある。」
「じゃあ、いじめられてないんだ」
「そう。」

ん?あきらかに話題がずれてる。
・・・嵐のコトを聞こうと思ったのに。

「ありがとう。コレ山本くんからもらったの。」

そう言って私は携帯についているキンホルダーを嵐に見せた。
キラキラ光って可愛い。
いつ見ても可愛い。
こんなに可愛いものが購買にあるというのも不思議。

「ふーん。」

嵐の目が一瞬冷たく見えたのは気のせいかもしれないけど
でも、嵐の表情は曇っていた。

星空で輝く空とは違って。