「菜々・・・嵐って何組?」
大木 菜々。
この春仲良くなった友達。
趣味から色々な所で話が合って今ではスッカリ心友と呼べる仲まで成長した。

「あぁ~・・・森山?えっとタカコと同じ組だったと思うんだよね・・・。
えーっと・・・待ってねー」

タカコ という人の名前はちょくちょく会話に出てくる子。
中学の頃の菜々の友達。

菜々は、スマホをひらいて何かをしていた。

「あったよー!えっとね・・・3組?・・・みたいだよ」
「へぇ~ありがとう」
「茜?行かないの?」
「え?」
「え?って行きたいから聞いたんでしょ?」
「あぁ・・・うん」

そうやってとらえるんだね。菜々は。

「うちらー1組じゃん?だから3組とか全然行かないー」
「タカコさんとは?」

ふっとおもった疑問。
中学の頃仲良かった・・・よね?

「あぁ~、タカコとは別にそんなベタベタした関係じゃないよ。んー、茜の方が全然さ話しが合うから別にタカコのトコなんて行かないもん」

ふーん・・・。
心の中では嬉しかった。

私は中学の後半イジメられた。
『自分が可愛いと思うから男子と喋るんでしょ!』
『体育で見学してるのってさ、男子の事見たいからでしょ?』

わけのわからないコトを言われて私は孤立した。
それでも、バカな男子は私のところにきて、また

『うわ、男子を味方につけたの?サイッテーー!』

と今度は言われて、

『私、○○君の事が好きなのに・・・茜ひどいよ・・・』

と、初めてその言葉を聞き、

『茜は~男子がいるから、修学旅行も男子といれば?』

とか散々な事を言われた。

だから、今の菜々の言葉は想像以上に嬉しかった。

「タカコー!」

我にかえる。
3組についていたみたいだった。

「あっ。なっち!おひさ~!」
「おひさぁあー、タカコ 森山 って人どれ?」

タカコさんは教室はキョロキョロした。

いないのかな?まだ来てないの?

「んーまだみたいだね。玄関行く?」
「えーめんどくさいー・・・茜、行く?」
「えっ!」

イキナリ自分にふられてビックリした・・・けど

「行く・・・。行ってみる」

菜々はビックリした表情で私の顔を見た。
目を大きく開けて・・・少し怖い。

「へぇ~、茜が・・・オッケ、いこっか~タカコありがとね」
「あ、うん!またきてよ~」
「えーヤダ。」
「言うと思ったーアハハ!バイバイ」

菜々はタカコさんの前ではめんどくさがりみたい。
それを笑ってゆるすタカコさん・・・か。

「とうちゃーく!3組の玄関!」

なぜか、ノリ気な菜々。

「どいて。」


一気に冷める空気。
でも、それが誰かわかったような気がした。
小学校から変わっていない7:3の分け方も違うし、
しかもイマドキの男の子みたいな髪型をしている。
メガネもかけていない・・・声も低くて身長も高い。


「・・・あ、嵐?」
「え・・・」

突如、自分の口から出た名前は探していた嵐。

「・・・えっと・・・そうだけど、誰」

え・・・。
なんで、わからないの?
小さいころいっぱい遊んだじゃん。

「・・・コンタクト初日で正直見えにくいんだよね・・・僕・・・じゃなくて・・・俺!」

「ぷっ!」

何その理由・・・笑えて・・・。

「嵐!久しぶり。茜だよ。」

「・・・え、茜なの?ここだったんだ・・・。じゃあ、これはコンタクトのせいじゃないや。茜変わったね」
「変わってないよ」

変わったのは友達との付き合いの仕方。
分からない私の過去をいちいちいう必要はないよね。

「君が、森山?」

菜々が会話に入ってきた。
どうやら、1人状態だったみたい。

「うん、そうだよ?君は、茜の知り合い?・・・友達というべきか」
「そそー、1組の大木 菜々 っていうの。よろしく」
「1組?茜も?」
「うん、そうだよ」

そう会話しながら私達は1年教室へと向かって行った。

「嵐、かわりすぎだよ」
「あぁー、うん。変わりたいと思ったんだ」
「なんでなんで!?そういうのあたし聞きたい」

菜々は、嵐に興味があるっぽいな。

「秘密。」

ドキッ。
妙にドキッとした。
声の低くなった嵐に言われて意識したのだろう。

「えー、ライン交換しようよ」
「いいけど・・・茜する?」
「・・・んー、いらない。」
「・・・そっか」


「・・・嵐、テストどしたの?」
「・・・ん、これも秘密。あぁ、でも変わりたいと思ったから」

はぁ?
何言ってんの?バカになりたいの????

そう思いながら私と菜々、嵐はそれぞれ自分の教室に戻った。
その直後、

「森山、かっこ可愛いね~ガチ好み」
「菜々、アレがタイプなの!?」

あんな、じゃっかんイジワルな人が?

「うん。かっこ可愛いのが好みなの~ってか、好みとか関係ないね。うん。」
 自問自答。

「森山さ、変わりたいっていってたじゃん?」
「あぁー、うん」
「あれさ、好きな子いるんだと思うんだよね」
「嵐に?」
「うん」

・・・それで、変わりたいって思う?

「そんなものなの?」

ふっと口にだしていた言葉。

「んー、茜は初恋まだだもんね。
 簡単にいうとさ、地味な子が好きな子にまず意識してもらうときは
 会話とかじゃなくて外見って大切だと思うんだよね。」

あぁー、確かに。

「例えば、その子と喋ったよ!面白かったって友達にいうとするじゃん?
 その時、相手の見た目が気持ち悪かった時聞かされた友達はちょっと引く
 よね?」

話したくなくなるのは確かだと思う。バカにされたりするかもしれないし・・・、と思いながらうなずいた。

「多分さ、そんな感じなんじゃないかな?」
「嵐が、気持ち悪い?ってこと?」
「違うー。ブーー。森山が地味だったってこと」

それなら、納得した。

「しっかし、その相手が気になる。」
「そう?」

なんでさっき喋ったばっかの子にそんな気になるのかな?

「もし、その相手があたしよりブスだったら奪ってやる。」
「奪う?」
「彼女になる!森山の!」
「!?」

何この展開。
まぁ、菜々より可愛い子ってこの頭が良い学校・・・つまり地味な子ばっかだから菜々が一番可愛いと思うけど・・・

『自分が可愛いと思うから男子と喋るんでしょ!』

また、思いだす嫌な過去。

菜々は、スタイルもいいしオシャレで成績は・・・70位内にはいるし
顔も可愛い。
短所は、多分めんどくさがりや。

「森山とラインしよーっとフフ♪」
「・・・頑張れ」
「応援?いらないよーノロケとか聞いてくれた方がいいー」
「?」
「だって、もし茜も森山のコト好きになったら、あたしは裏切られることに
 なるじゃん?それなら、応援とかいらなーい」

「ありがとう」

そんなコトまで考えてくれて嬉しい。

それから菜々はすごくご機嫌。

「3組いくよー」
「・・・うーん」

今度は私が誘われる側になっている。
少し、菜々のまんどくさい理由も分かってきたかもしれない。

「茜はさ、タカコと喋ってる?」
「いや、いいよ。話題がない」
「そうだねーじゃあ、うちと森山のトコにいなよ。」

いつのまにか、私は入れてもらう側になっている。
私の方が、嵐に関しては詳しいのに・・・。

・・・でも、知っているのは過去。
今は分かんない。
その証拠に、嵐には推測だけど 好きな子 がいる。
その子の為に自分を変えようとしている。
「僕」から「俺」みたいに。

でも、昔を知っている私なら分かる。
変わるって本人も表現してるけど違う。

あの、活発な頃に

戻る   という表現の方が正しい。

「森山ー」
「あ・・・大木さん。」

嵐がきた。
目が合うと、ほほえんだ。

「どうしたの?大木さん」
「えー、ラインでココに来て話すって言ったじゃん!証拠になるからーって」
「あー、本当に来たんだね。」
「うん!ってか、森山の見た目でその優しい喋り方はない。」
「えっ!本当?」
「いや、そこものさ・・・マジッ!?とかに変えるとか」
「ふーん、勉強になったよ。」

そして、嵐はメモ帳のようなモノに何かを付けくわえた。
私は、視力がそこまでよくないからなんて書いてあるのかは見えないけど
○○ノートと書いてる。○○には漢字?平仮名がはいっている。

「教えてよ!ラインのこと」

ダメだ、暇すぎる。
あきらかに私が入るトコなんてない。
近くにいるんだけど、私だけ離されていっているように感じでくる。

ドンッ

「いった・・・」

誰かとぶつかった。
目を開けるとそこには3人の男の子。

「ごっ、ごめん!!後、向いて歩いてた」
「あ、ううん!こっちこそ・・・」
「ごめんね!!」

そういって3人の仲の1人の子は私の横をすぎていった。
2人はその子に向かって笑っているように見えた。
仲が良いのかな?

私は暇すぎて、壁に寄りかかって空を眺めていた。
もし、私が外国人に産まれていて子供ができたら

SKY(空) という名前にしたいくらいこの青空が好き。

今は冬に近い秋空。
でも、秋空も夕がたの時間が長いぶんオレンジがすごくきれいだ。

「なんで、教えてくれないの~」
「・・・だって、口が軽そう。」
「ヒッドーイ」
「ごめんね・・・」
「ぅうーーん・・・」

なんか、教えてくれたかったみたいだけど・・・
嵐は・・・口が堅いから。

「もう少し、お互いのコト知ってからね」
「・・・じゃあ、あたしの事菜々ってよんで?茜は茜って呼んでるじゃん!
 なら、あたしも菜々がいい」
「茜とは・・・」
「菜々、私と嵐は幼馴染だよ」
「えええええええええええええええ!?そうなの?」
「「うん」」
「ホントだ、息ピッタリ」

あわせるつもりはなかったけど。
これが幼馴染の切っても切れない縁ってヤツなのか。

「・・・で、あたしは菜々って呼べないとでも言うの?」
「え・・・」

再び、追い込まれる嵐。
もぅ、見ていられない・・・と思って横を向くと
さっきぶつかった少年が次は逆方向から歩いて来ていた。

「あ!まだ、ここにいた」
「え?」
「さっきはごめんね!今、購買にいってきて・・・」

といいながら袋から出したものは、

綺麗なパステルカラーのハートのキンホルダー。

「あげる!」
「い、いらない!」
「えっ」
「だ、だってぶつかったくらいなのに・・・?」
「もらっときなよ、君」

3人の中の違う子が言うけど・・・私は負けないんだから!

「いらないよ・・・。」
「可愛くないってこと?」
「いや、可愛い!ホント可愛いけど・・・」
「もらってください。」

頭までふかぶかとさげられてしまった。
こうなったら私の負け。

「はい・・・。ありがとう」
「やったー!俺、山本 春輝」
「やまもと・・・はるき?はるって言うのは漢字で・・・春?」
「え?えっと・・・春夏秋冬の春」
「へぇーいいな!私、春とか空って名前大好きなんだ」
「そうなんだ!・・・君の名前は?」
「五十嵐 茜 1組」
「五十嵐さん?かっこいいね!俺は、3組。」

そんな会話をしていると

「他にも、秋空が好きだったよね、茜」

と、嵐が入って来た。

「・・・森山、何??」
「いや、知っているコトをいっただけ。あ、もう少しでなるよチャイム」

そう言われて私と菜々はそれぞれの喋り相手だった人に
「またね」
と告げた。

秋の空とは違う冬の空。
窓から入ってくる風はまるで何かくるような風をだしていた。