いとこだと知った日から私たち二人には少しだけきょりができると思っていた。
けれど、嵐は、全然気にしていなかった。
とても、嬉しかった。
朝は、一緒に登校してきて、帰りも二人で帰る予定。
順調。
そう確信していたけど、私はある人の存在を忘れていた。
「こんにちは、五十嵐さん」
「あ・・・久しぶり?山本くん」
山本春輝。
彼は、私に告白してきた少年であり・・・初めての彼氏。
そこは、嵐にも、山本くんにも謝りたい。
『ごめんね』と。
「えーっと、おめでと」
「へ・・・?」
思いもよらない言葉だっ・・・た。
「俺と付き合う時から・・・いや、君はずっと森山が好きだった。だから、俺は結ばれて嬉しいと心から思ってる・・・よ」
「山本・・・くん」
「ほんと、おめでと!」
「ありがとう」
「なーにしてんの、茜。」
「あ、嵐っ!」
「帰ろ。」
「う、うん!バイバイ・・・山も・・・」
ガシッ。
へ・・?
「ダメ。もう、だめ。俺は、あきらめてないよ。森山」
う・・・そでしょ?