「タケシ!俺・・・全部、合格した!俺も、花園受ける!」

タケシと一緒にいなくちゃ俺の人生つまんねぇーよ。
多分さ、ゲイじゃない・・・けど、俺は本気でタケシがいればいいと思っていたんだ・・・。

「おっ!?マジかー!ハル。じゃあ、一緒にこれから頑張ろうな」

「おぅ!」

タケシ・・・がいてくれればよかったんだけどな。
現在の俺ならそう思う。

それからは、昼休みのたびに図書室で1,2年の復習・・・復習・・・。

「ああああああああああ、もうダメだ」
「ハル、始まってまだ10分」

「うっそおおおおおおおおお」
「あと、うるさい。ここ図書室だからね」

「ええええええええええええ、いいじゃん。俺ら3年だし!」
「関係ないから。」

冷静にツッコミを入れてくるタケシ。
それに俺はのっているつもりでいた。

「・・・タケくん?」

この声は・・・

「あ、綾香じゃん。久しぶり」

「うん、久しぶりだね。あ、隣いいかな?他、あいてなくて・・・」

「全然いいよ。俺ら、うるさいかも・・・」

「いいよ?あぁ~・・・山本君か・・・フフフ」

「そ、ハルがうるさいの」

なんだ、普通に喋ってるんだ。
一時期、タケシは悲しい表情だった。
だから、てっきり喋れなくて悲しかったのかと思ってた。
ん?

じゃあ、なんでタケシは悲しかったんだろう。


「おいっ。」

現実に戻される俺。

「花園、いくんだろう?」
「あぁーーーー、そーーーだったねぇええええええええ」

「アハハハッ、うるさぁあ~い」

竹下さん、今日はよく笑うんですね。

「そーなんだよー。綾香、なんかあったわけ?」
「えっ!?」

・・・やっぱ、タケシもカンがいいですね!
アハハハ、俺の友達だからね~。

「えっと・・・」

竹下さんは、俺の方をチラ見しながら戸惑ったように言う。



「何?」
「え・・・えっと・・・」

「ハル、悪い席開けてくれないか?」

「あ」

あぁ~、そういうことか。
あぁ~・・・確かに言いにくいね。

「ごめん」

そう言って俺は席を開けて図書室を出た。

図書室を出た瞬間、ドアの横の異変に気づいた。

10人ほどの女子が図書室を見ていた。
多分、竹下さんと仲良い女子かな?と俺は思う。

「あのー、どうしたの?誰?呼ぼうか?」

女子たちは一斉にビクッとして俺の方を見る。
多分、ここの中心人物は・・・ポノーテールの女の子かな。

「あぁ~。山本君っ!えっと、なんでも・・・ないよ?」

中心人物が答えてくれる・・・が、目が泳いでいる!!

「ふーん、そっか」

俺はここから図書室を見る・・・とちょうどタケシと竹下さんの姿が見えた。
・・・そして、竹下さんは多分泣いていた。

中心人物ではない他の女子が足を床にダンダンをつけている。
怒っているのかな?

「はぁっ!」

その女子が強くため息を吐いた瞬間俺は気づいた。



竹下さん、いじめられてるんじゃないの?



「っちょっと!ば、バレ・・・」

そこからは小声で話し出す女子たち。
99%の確率であたっている。

多分、いじめられていてすることがなくなり図書室に来て奥の方で勉強しようと思ったら全席座られていて唯一開いていた席がタケシの隣。
そして、奥の方を選択したのは見えない場所に行くため。
さらに、奥の方はしきりがあり見えないようになっているけど・・・そこがうまっていたのかっと思われる。

・・・推理だけど、我ながら完璧ではないだろうか。

「・・・ってか、綾香が悪いんだよね!」

やっぱり、ダンダンと足音をさせている人が物
を言う。俺の推理は、たぶん外れ。
中心人物は、コイツだ。
誰も何も文句言わねーし。決まりだな。

「なんで、竹下さんが悪いの?」

俺は、問う。
やはり、答える人は、一瞬中心人物かと思えるポニーテールの少女。

「あいつ、うちらの悪口いったんだってさ。」

悪口?


「お前ら、それって悪口に入るの?」
お前らだって、今言ってるんじゃないの?
それは悪口じゃねーのか?

「・・・はぁ?こ、これは違うし・・・ねぇ?」

「「「「うん」」」」

他の女子が声を揃えて答える。
足をダンダンとさせている奴は、舌打ちをしながら竹下さんを睨みつけている。いやー・・・怖いね。
でも、この人どっかで見たことあるんだよな。
そりゃあ、同じ学校だから当たり前なんだけどさ・・・。

あっ、思い出した。

マユさんと仲良い女子だ。
あぁ~・・・ふーん・・・ってことは?
マユさんこのグループかな?

「ねぇー!みんなぁあ、情報、もらってきたよっ!」

そう言って沢山の紙を持ちながら走ってくる少女。
そう、これがマユさん。

俺、こういう奴と付き合ってたんだ。
そりゃあ、好きになれないわけだよな。

「あっ!・・・」

マユと言う名の少女が俺に気づいた。

俺は、言う。


「お前ら、恥ずかしくないの?」



キレた・・・のはただ1人。
ダンダンと足音を鳴らしていた奴。

「はぁ?何、いい気になってんの?ちょっと自分がカッコイイからって何でも言ってもいいと思ったら大間違いだよ。分かってんの?うちらの関係に勝手に首つっこんでんじゃねーよ。」

わぉ。
結構、早口で言ったので彼女は息を切らしている。

「カッコイイからー俺は、物事言ってるんじゃないよ。」
「はぁ?うっざいんだけど。だからさー、勝手に首つっこむなって言ってんの」


「じゃあ、俺も関係者になればいいの?」


俺の言葉に、シンッとなる女子たち。


「・・・なればいいんじゃなっ!?ってか勝手になればいいじゃん!」

言ってることが違うんだけど・・・。

「あ、じゃあ俺も今から言ってもいいよね。関係者だし?」


「やめとけ。ハル」


図書室から出てきた・・・のは、タケシと竹下さん。

「あ・・・お、おぅ・・・。」

あいまいな返事をする俺を見てタケシは何も言わない。
問題は、俺じゃないもんねー。

「綾香の何が悪かったわけ。」

「だっから、うちらの悪口言ったって聞いたの!」
「誰から?」
「・・・女子から!」
「誰から?」
「だから、女子から!」

「はぁ~・・・女子だけじゃわからないよね。誰から?」

そう言ってタケシは10人ほどの女子を見渡す。
すると・・・

「うっ・・・」

泣き始めた子が1人。

「何?・・・いや、誰から聞いたの?」
「・・・だ、誰からも・・・うっ・・・聞いてなぁい・・・。」

本当の事を話す泣いた少女。

「・・・なんで、そういう事するの?」
「それはっ・・・うっ・・・」
「言うなっ!お前、ペラペラ喋ってんじゃねーよっ!」
「うっ・・・ごめんなさいっ・・・」

・・・中心人物が前に出て答える。

「うざいから。綾香のことがみーんなうざいから・・・だよ?」

「へ~。」

「うん、それだけ。悪い?」

・・・悪い・・・って言われたら・・・悪い?

「悪くないね。綾香も、自分とあっていない場所にいたってことでしょ。」

「うん、そういうこと。だから、綾香もううちらのトコにいなくていいよ」

「・・・。」
「綾香、何?うちらといたいの?いたいなら、性格直してから来て」

「・・・うちは、竹下綾香。・・・性格はこのままでいたい。だから、あんたたちのトコ・・・卒業する。」

「そ。」




その日から、なぜかタケシは学校に来なくなった・・・