「タケ・・・おはよ」

昨日、怒られたから正直、会うのは・・・嫌かもしれない。
でも、今・・・なんか竹下さんに言われたんだよな。

気になること。


「あぁ・・・おはよ・・・」

タケシ・・・顔、白くないか?
気のせいか・・・。

「昨日・・・怒ったから・・・ゴホッ」

「タケシ?」

「いや、ただのせきだよ・・・昨日、怒ったから話してくれないかと思ってた」

「んなわけねーだろ!俺と、タケシの仲だぞ!」

「はははははっ!ありがとな」

・・・よく、笑うな・・・今日。

「お前、竹下さんと別れたのか?」

「・・・お、知られちゃったかー。うん~まぁな」

・・・それでも、タケシは悲しい表情だった。
今、思えばこの時が一番詳しく聞けていたのかもしれないなぁ。

「まぁ・・・さっ!俺も、多分ー綾香もまだ両想いなんだけどな~でも、こういう別れもあるんだよな~」

『なんで』って聞くべきだったんだ。

でも、その時は何も知らなくて・・・

「そんなもん?」

としか言えなかった。
タケシは・・・悲しい表情で笑って

「そんなもん。」

とだけ答えたんだ。


「あぁー。んじゃ、俺、いくわ~お先」

「・・・おぅ?」

どうも最近タケシの様子がおかしい。
それは、勘違いだと思っていた。でも、これは俺にきっと気づいてほしかったのではないだろうか・・・なんて今の俺は思うんだ。

あぁー、タケシ・・・本当にどうしちゃったんだろーな。
俺に、言えないこと・・・言いたくないこと・・・大切だから・・・?
いや・・・彼女と別れたくらいで大切だから言いたくないことになるのか?
違う。
タケシは、俺に何を隠しているんだろう。





「はぃ!?」
「だ~か~ら、タケシは早退した。」
「・・・なんで!?」
「・・・おい、それで練習サボろうとしてんのか?」

やべ、監督がキレてきている。やべやべ。

「いや、違います!なんでっすか!?」
「・・・お前・・・3キロ行ってこい!」

「ええええええええええええええ」


マジ、キツイわ。
うん・・・キツイ。
あと、どんだけだよ。この学校でかすぎなんだよ。
なんで周りが3キロもあるんだよ。

チッ。


「たぁあーだいまっす」

ここから、今日は俺・・・見学だわー。あぁー

「おっし、2分休憩したら練習入れ」
「え?」

「ハル、早く!お前のシュートで全国行くんだから!」

チームメイトが言った。
・・・?なんで、俺、そんな重要な役割になっているんだろう。

「うっす」

頑張る、タケシ。






「ありがと・・・ございましたぁあああ!」
練習終了。
今日も、お疲れなのです。

はぁー。こういう時タケシがみんなに飲み物渡すけど、新人1年生マネージャーには分からないかな?いつも、片付けしているから・・・ね?

「あの、飲み物いります?」
「え・・・あ、うん」

・・・アレ?知ってた。
それと、俺に飲み物をくれた後は何かメモ紙を広げ、ジッと見た後にいつも通り片付けを始めた。
ん?

「ハル、来週、県体知ってた?」
「うん、知ってるー」
「・・・そっか、ガンバローな」
「おー、主将さんも。」
「・・・主将さんってなんだよ。俺には名前があるんですけど。」


アハハハハハハハッ



次の日

タケシは学校から休んでいた。

「・・・?」
「は、春輝君!おはよ」
「・・・おはよー」

そっか、マユさんもこのクラスかー。
あんま来ないようにしよーっと。

「あっ!山本さん・・・」
「ん?って、竹下さん!」

「えっと、ちょっとお話してもいいですか?」
「え?それってどんな?」
「・・・あの、タケくん最近ど、どうですか?」

どうですかって言われても・・・。

「俺には・・・ちょっと様子がおかしいように見えています。」
「そ、そうなんですか・・・やっぱり。」

やっぱり?彼女はボソッと言ったけど俺には確かに聞こえた。

「タケくん、明日・・・来ると思います」

「あ、どうも・・・」


彼女の言っていた通り、タケシは翌日学校に来た。

「タケー!おっはよーーー」

「あ・・・おはよー」

なんだ?今日は、笑わないな。ふーん。

「竹下さんが昨日お前来るって言っててさ!そしたら本当にお前来た!」
「あぁ~、綾香?・・・そっか。そんなこと話してたのか~」

「ってか、ハル。お前、人に『さん』つけるのいい加減やめろよな。相手に距離とってるみたいだぞ。元カノだって マユ『さん』だろ?」

あぁ~、そっか。距離とっているように感じられてしまうのか。

「おー、頑張って直す」

「俺には、呼び捨てだけどな」

「そっ!距離が全くないの!!!」

ボソッ

タケシは何かつぶやいた。
けど、俺は何も分からなくて、いつも見て見ぬふりをしてしまっていたんだ。


「今日、バスケ来る?」

「いくー、あ~お前に前言ってた漫画あげよっか?バスケの」

「えっ!?くれんの!?いくら!?」

「ハハハッ、タダでいいよタダで。」

えええええええええええええ!?
なんで、コイツ学校に戻っていたと思ったら太っ腹になってきてんの!?

「マジで!?ありがと!」

「おー、30巻出てるけどー今週、渡すー」

「あざまーーす」

マジか!マジか!ずっと、ほしいって思ってたんだよねぇえ~。
ヤベ、タケシ・・・最高!!!!!

「じゃあー、部活でな。」
「おぅー」

『さん』をつけないで話す・・・か。
そっか。頑張ってなおさねーとな。


「え?今、なんておっしゃいましたか?」

「だから、アンタ点数悪すぎ。一番悪い。恥ずかしいって!だからしばらく補習組にはいってもらうわ。」

担任、雲井先生。女、職員室の自分の机には彼氏とのラブラブな写真がある先生。

「・・・それって、いつするんですか?」
「明後日から!1ヶ月間!」
「・・・?放課後・・・なわけないですよね!?」

「放課後。部活は30分くらいになるんじゃない?」

は!?

「無理です無理です!俺、今めーっちゃバスケ好きなんですよ!練習とかめっちゃ打ち込んでるんです!」

「は?そんな事言ってるからバカな点数とってくるんでしょうーが。」

バカ!?

「監督さんだって『仕方がない』って言ってるわよ。」

うっそ!?

「・・・じゃあ、テストしてみる?今、何点取れるか。もちろん、前回のテストプラス最近習ったちょっとしたところ。70点はいってもらうわよ?」

7、70点!?
・・・高いな。

「どうする?それ以上、いけたら補習はナシにしてあげるけど?」

「やりますっ!」

・・・あ、やってしまった。
とれるえわけねぇーのに。

「いつテストですか!?」

「・・・ん、一週間後。来週は大会よね?文武両道でね☆」

ヤベーわ。
こんなん、俺ができるわけねーじゃん。
でも、そんなこと言ってる場合じゃなくねっ!

「あ・・・、タケシ!」

「ん?どうしたの・・・なんか落ち込んでね?」

あ!
タケシに頼んでみよっかな!タケシ、めっちゃ頭良いし・・・バスケ部では珍しいくらいの脳内をお持ちで・・・。

俺は、雲井先生に言われたことを説明してタケシに頼んだ。

「んー、明後日っていっても今日はもう全然勉強できないって考えると明日だけで 5教科70点・・・は、お前の点数から上げるのは難しいかもな」

ですよね。

「じゃあ、選べ。今日と明日は部活しないでテスト勉強にめっちゃ打ち込む。俺もお前の家とまる。ずっと勉強するか、もうテストは諦めて長い補習をするか!」

そんなん・・・悲しい選択。

「今日・・・部活休むよ・・・」

「うっし!良かった。俺も一緒に先生に頼みに行くよ!」

「ありがとう」




はぁ~・・・。
先生に伝え終わった俺は疲れ切っていた。
先生もストレスがたまっていて今、関係のない話まで持ち込むんだからな。
あの人、ふざけてるだろ。

「お疲れだね」

タケシは一緒に入っていくとすぐに『お前はいい』と言われて追い出されていたけどずっと待っててくれたんだな。

俺とタケシは俺の家に2人で向かった。
その時にタケシはもう泊まる準備を済ませてあって俺が説教されている間に多分、家が近いからすぐに帰って持って来たんだと思う。

「タケシ、どこの高校いくんだよ」
「え?・・・うーんっと、今のところ花園かのぉー」

は、花園!?
花園って言ったら名前の通りすっげーレベルの学校じゃね!?

「マジで!?」
「あはははー、うん。マジで、全然間に合うよ!勉強すれば」

いや、俺の点数で花園行くって言ったらみんな爆笑だな。うん。


「お前は?一緒にいこうぜ!花園」


「え・・・」

「何?点数?んなもん、俺と勉強したら上がるよ~なんつって」

・・・俺は、タケシと心友。
これからも多分、タケシが必要。



「・・・頑張る。いつもの100倍くらい」



そうして、俺にとって地獄の二日間が幕を開ける。

初日の今日は、家に帰ると親がいないので俺が風呂に入っている間にタケシが勉強範囲の確認、問題を作る作業をする。
俺は、風呂から上がると膨大な量の勉強をすることになり、その間タケシは風呂に入る。答えをうつしてもいいけど、ちゃんと理解しているかの確認をするっと言われ、答えは見れず・・・。
タケシが風呂からあがると、2人で○付け。間違ったところを何度も説明してくれるタケシに俺は謝ってばかり。

両親が帰ってきて仲良くごはん・・・15分間。
そこからはずっと、無駄なことを一切喋らないで、12:30まで勉強。

翌日の朝は6:30に起きて、ラジオ体操。
母親がごはんを作っている間に問題の出しあい。
俺が出す問題なんて、タケシにとっては多分簡単すぎる。

学校では休み時間のたびに廊下で勉強。

部活をチラ見する時間すら与えられず、その代わり家までダッシュ。
荷物は、なぜか俺のチャリを乗っているタケシが持つ。

家に帰ると風呂に入って、昨日と繰り返し。




「おー。だいぶ、痩せたな。山本」

「雲井先生、俺ー頑張ってん」

雲井先生はこんなことするけど一番生徒思いだと俺は思う。
美人だし?胸でけーし。

俺は、見慣れた問題をスラスラと解いていく。
それを自分で見ていて怖く思う。

タケシと一緒にやれば・・・花園、狙えるかも・・・

なんて考えたりしながら・・・ね。


そして、テスト終了。



「監督!テスト終りました!練習してもいいですか!?」

俺は、監督に練習の許可をもらいにいくと監督は・・・

「ダメだ、寝ろ」

「・・・はぁ?」

俺は、あまりにも悲しくなった。
なんで好きなことをしてはいけないのだろう。

「お前、顔を見ろ。白い。タケシも真っ白だ。お前らは今日は寝ろ。先生に頼んで宿題もなしにしてもらうからな」

なにいってんだよっ!
クソジジぃ!!!!!

「・・・はぃ」

チックショーーーーーーーーー!





翌日

「山本春輝!おはよーさん!昨日はいっぱい寝たかい?」

「はい・・・。部活は、出来なかったんですけどねー」

「あははは、本当にバスケバカだねぇー。ほれ、テスト」

5枚の紙を裏返しに渡される。
俺は、多分ダメなんだろーなっと思って

「先生、俺は部活しますからね」
「ん?・・・あぁ~。」

俺のもらったばかりの状態の紙をみて先生はあいまいな返事をした。

俺は、5枚のテストを裏返して見る。

「えっ!?」

国語 72点
数学 85点
社会 92点
理科 70点
英語 70点

「先生・・・これって」

「あぁー、合格だね。スゴイわ。前までじゅーなんてんだったのにね」

・・・危ないのは、理科と英語だけ。
久しぶりに90点代のテストを見た俺はタケシのところに報告に走った。